開口は表情に依存する(Part.2)~目を軽んずることなかれ~
→前回の実験でわかってきたこと…
それは、
人体の構造上、目を閉じると開口にブレーキがかかるようです。
この大きな理由のひとつは、目を囲むように付着している眼輪筋という筋肉の存在でしょう。
これは目を閉じる筋なのですが、その付着部がずいぶんと広いんです。そして、この図々しく広がっている眼輪筋は、唇を引き上げる筋に部分的に覆い被さっています。
まあ、やさぁ~しく覆い被さってくれていたら、いいんですが、目を閉じたり、さらに強ーく目を閉じる時は、眼輪筋がギュッと収縮します。
ここで、覆い被さられている筋の心情を察してあげてください。上に被さっている筋が硬直するのですから、「ぐぇ~~、潰される、窒息するぅ。」
そんなわけで、目が閉じられていると、口を引き上げる筋自体の機能が妨げられてしまうのです。(=唇を持ち上げられることができなくなる。)→口が開きにくいという結果になるのです。
口を持ち上げる筋が下、その上に目を閉じる筋が覆い被さっているという構造から、目を閉じるという行為を最優先したいという生命の思惑が感じられます。
確かに我々は反射的に目を閉じることがありますし、とっさに目を閉じるという行為は、眼球の保護という観点から非常に重要です。
また、健全な視覚を確保し続けるため、私たちは必ず一定間隔で、「まばたき」をしなくてはなりません。このように、我々が日々暮らしていく上で、目を閉じるという行為は、どうしても優先させたい動きの一つなのでしょう。
先程の実験の話に戻りますが、結果から明確なように、目は大きくしていた方が口は開きやすいのです。
そして、何らかの事情で、ある人に常に目を細める習慣が付いてしまったとしたら、どんなことが予測できるでしょうか。例の、覆い被さられている口上部の筋は、しゃべる時も、食べる時も、四六時中、「何か思うように、動かないな。」という状態で過ごさなくてはなりません。そして、それが何ヶ月も何年も、同様な状態が続いたとしたら、その筋は運動不足で鈍ってしまうかもしれません。あるいは、「おれって、必要ないのかな…。」と自らの役割を見失ってしまうかもしれません。
たまに、何年もの間、個人宅で女性が拘束・監禁されていたという事件を耳にすることがあります。こうしたケースでは、もちろん運動不足で思うように動けなくなるという問題が第一にありますが、さらには、強制的な拘束が続くことで逃げ出そうというモチベーションさえ喪失してしまうのです。
ずいぶん異次元の例え話になりましたが、筋だって同じような状況に追い込まれると思います。常に目を細めている=常に眼輪筋が緊張気味になっている=覆い被さられている筋は常に一定の圧迫、拘束状態にある。こうして、だんだん口の開きが鈍ってくるおそれがでてくるのです。
そんなヘンテコな癖ってつくの?と思われるかもしれませんが、この目を細める癖は侮れません。
例えば、近視の方が、遠くが見えにくいため、よく目を細めて視力を上げようとしますが、これが無意識にできるようになってしまうと、いつの間にか目が小さくなって、数年後にはそういう顔ができあがってしまうかもしれません。もちろん突如変わるわけではないので、本人も友人も、そんな顔なんだろうと思って不審に感じることもまずないのです。
というわけで、開口がうまくいかない方からすれば、普段から、目は小さくしているよりは、大きめに開けておいた方がいいだろうと私は感じているのです。
目を細めていると、眼輪筋が硬直傾向にあるため、口を持ち上げる筋が動きづらい。そうして、その機能不全をかばおうとする他の筋には余計な負担が回される。逆に、目を大きく開けているということは、その口の筋に対して「必要な時はいつでも動いていいんだよ。」という環境を整えてあげることになるのです。
ですから、眼輪筋と開口の関連性を考慮すると、長時間、強く目を閉じ続けるという状況もなるべく避けた方がいいように思います。強く目を閉じるのが長時間なんて、日頃ほとんどないですね。でも、懸念されるケースが一つ思い浮かぶのです。
それは、「明るい光のもと」で眠る時です。
光は人を覚醒に導きます。てことは、眠っているのに強烈な光が降り注いでると、まだまだぐっすり寝続けたいあなたの無意識は、「まぶしいんだよ~~」とますます強く目を閉じる(=眼輪筋が特に緊張する)かもしれません。
よって、どうした方が望ましいかというと、なんてことはないです。電気を消して寝ましょう。また、日中寝るライフスタイルの方は、なるべくカーテン閉めましょう。これだけですっ!
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