現実離れした処方箋＜後編＞

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とはいえ、疲労の濃い私に対して、診断者は健康な体を将来にわたって維持する秘訣のようなものを話してくれました。

それは、「夜の9時から寝よう」ということです。

おおまかなバックグラウンドは次の通りです。夜9時から夜12時の間の睡眠が、人体にとって一番大事な物質の生成、分泌を促す。これは寝ていればいつでもＯＫというわけではなく、9時から12時の間だからこそ、起きる現象だそうです。

いや、それって…

言いたいことはわかるけど、現実と乖離しすぎてない！？
自分は、別にこの9時から12時の間の睡眠の話を頑なに否定するつもりはないですし、確かにそれ位の時間帯に寝るとスッキリしたような経験だってあります。
ですが、この人は目の前の人間をちゃんと見て話してるんだろうか？目の前にいるのは、ランドセルが初々しい小学生でも、日々悠々と余生を過ごす老人でもないのです。彼は本当に、この20代半ば（当時）の男を視界に捕らえて、その言葉を発しているのだろうか？

毎日９時になんか寝てられるかい
「月９」のドラマの視聴率云々…とかの話題もある通り、まさに、現代人が最も自由を満喫する時間にパジャマに着替えて寝てろというのでしょうか。それが最重要の健康の秘訣？？100人いれば数人いるかもしれませんが…そういや、９時過ぎ勤務の仕事、職場だって世の中には数多くあるんですけど…

現実的にそんな時間に寝なくても、元気な人は元気に第一線で活躍しています。何ともまあ、現実離れしたというか、もっと相手に応じたアドバイスはできないのかと首を捻るばかりです。
最後のとっておきの話がこれとは…何かトホホでした。
皮肉にも、その時期私はよく９時位に寝ていたかもしれません。体がきつすぎたためです。

極めつけは、帰り際にかけてくれたこの言葉でした。

「きついなら、無理しないで、病院行ったら？」

これにはもう、呆れたのと同時に、ゾッとする感覚が沸きあがってきました。
「こりゃもう、自分でどうにかしないとヤバイぞ…」